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不登校とひきこもりの問題について

脱出のために何が必要か? 何をするべきか?』 

対談 セラピスト:岩波

DREAM ART LABORATORY 不登校/ひきこもり克服プログラム
東京・大阪で開催(新宿、三軒茶屋、森ノ宮)

岩波氏とは前回現代社会が抱える心の悩み、神経症についての対談した。
神経症から不登校・ひきこもりまで、心の悩みを抱える人の絶大な支持と熱いファンがいるカリスマ・セラピストとして知られている。
それは前回話したときに私が一番よく感じた。
また心の悩みだけではなく、スポーツメンタル、自己啓発の分野と活躍は幅広く各分野で高い評価を得ている。

一人の岩波氏という人間にとても惹かれ、二度目の対談となった。
今回のテーマはもう一つの社会病理の事象である「不登校」「ひきこもり」「ニート」といった子供たちに密接な関連のある問題。
神経症は基本的に当人の問題だが、「不登校」「ひきこもり」は親や家族を巻き込んでしまう。ということは悩んでいる当人以外の何倍もこの問題で困っている人がいる。
保護者側の苦しみも尋常ではない。多くの保護者と会ったが、子供の将来への不安、閉塞感、家族の危機などでノイローゼにほとんどの人が陥っていた。
大きな問題は、子供がカウンセラーなりセラピスト、もしくは医者を信頼しない(無理矢理通わされるという形が多いため)ので、ますます殻に閉じこもってしまうことだ。
そこも岩波氏はクリアできていると感じた。
悩んでいる当人だけでなく、その保護者に多くのファンがいる岩波氏は、東京と大阪でDREAMART LABORATORYをやっている。

なお岩波氏との神経症と心の悩みの対談はこちら


━ :筆者の言葉
無印:岩波氏の言葉 (   )内は筆者の補足

━岩波先生は悩んでいる子からも、親からも熱い支持を受けています。でも、他の専門家(セラピスト、カウンセラーなど)は苦労している。その違いはどこだと思いますか?

幸いなことに支持を受けているのは「他と違う」「価値がある」と感じられていることだと思います。うちはいろんなところを回って来られた人がほとんどですが、それまで効果が出ていない人ばかりですね。子供も完全に心を閉ざしてしまってますし、親御さんも閉塞感でたまったものじゃないと思います。解決のために時間が勝負ですが、いち早く強力で有効な手段を提供してやっているので、そこらへんもあるんじゃないかなと。

━岩波先生のことを日本一とか世界一と絶賛される方が取材でも多くいました。

いやいや

━この問題(不登校やひきこもり)は、子供の悩みですが、それ以上に親のノイローゼ状態の問題もありますよね。実際に親はどういう心理状態なんですか?

すごくせっぱつまって相談に来ます。子供のことであるだけに必死で、その愛情に心をうたれます。でも、自分本来の悩みでないだけに、余計違った苦しさとかジレンマ、閉塞感があると思います。

━そうだと思います。ぎりぎりまで神経がすり減ってもう発狂寸前まで追いつめられている親も多かったです。「どうにもできない、出口が見えない、これから先どうすればいいんだ、何も手段がない、なくなった」と永遠の悪循環に陥ってもがいていました。

だからこそ、親御さんの精神状態に効果を与えることにも重点を置いています。

━僕が思うに、そこも大きな支持のポイントだと思います。どうしても他のところでは子供を間に合わせにカウンセリングする、ただ体を預かるだけとか、何にも有効な手段をとれていなくて、それに親までそういう意識が向いていない、また力不足なところもあると思います。

子供が悩んでいたら、親もある意味それ以上にくるしい状況だから

━不登校に対策をとる施設と銘打っていても、それは学習塾が人集めにやっているものだったり、子供の心を開かせられないカウンセラーだったり、子供が暴れたり、ひきこもったりしているから、とにかく外に出すために体を預かるだけだったり、そういう現状をどう思いますか?

みなそれぞれ自分の考えに従って不登校に対して取り組んでいるとは思います。でも効果がなくては結局意味がないし、苦労されていると思います。もっと問題の根っこは深いものだし、そこから根本的に効果を与えないと時間の浪費になりますね

━未来のある子供がどうしようもない心の問題を抱えてしまってます。親としたら一番貴重な青春時代にマイナスの経験しかできないというのは恐怖です。だから「どうにかしてあげたい!」と思うんですが、もう親では対処できないところまで来ています。今は悲惨な親子間の殺人傷害事件が多発していて、その多くが不登校の子ですよね

だからそうならないうちに相談に来て欲しいと思います。そうすれば必ず突破口が開けますし、そうなるよう努力します。いま逃すと取り返しがつかないことになりかねないので。

━家庭内暴力も不登校や引きこもりの問題にはついてまわりますし、コミュニケーションもまったくとれなくなったり、心が親子ともずたずたに切り裂かれるのは痛々しく感じました。

そうですね

━それなのに専門家も苦労している現状です。カウンセリングが成り立たない、結果を出してやれないという問題もあります。親側も結果が出ないまま時間がむなしく過ぎています。だけどこの問題は時間が勝負ですよね? 不登校になって、心を閉ざしてしまった子供は他の方では扱えないものなんですか? 

普通レベルでは難しいと思います。自分ならそうじゃないと言えますが、(他の専門家は)苦労していると思います。自信喪失にもなっていると思いますし。「ラポール(信頼関係)がなかった」「価値が見いだせなかった」とそれまでの施設について言われます。

━親がもう完全に参ってしまって、気が狂うくらいになったり、これ以上ない落ち込みにはまったり、ノイローゼになって苦しんでる……神経がぎりぎりまでいって、出口が見あたらない問題だと強く感じました。子供だけの問題じゃなくて、一家の危機ですし。薬でどうにかしのいでいる親も多いです。

焦燥感とか鬱になったり、神経をすり減らされて大変だと思います。

━ノイローゼになった原因が子供の問題だけに、「この子がいなければいいのに」と思うそうですね。そうすれば自分は安らぎが得られる。とにかく施設に預けようって。

でも根本の子供の心が解決しないと先はないし、ただの逃避になってしまう

━どうしても近視眼的になりますね。だから20歳過ぎても、30すぎても子供は立ち直らないどころか最悪にまでおちこんでいくんですね。

中長期的な視野に立ってやらないとダメです。どうしても視野が狭くなってしまうのはわかりますが。そうなると閉塞感に飲まれてしまうから。

━自分の問題ではないけど、自分の問題でもある。(子供の心に)手が届かない苦しみというんですか……だから視野が狭くなってもがいてしまうんですね。必死だからこそ……

子供の問題はもちろん根本的にやっていきますが、苦しんでいるのは親御さんも同じだから、考えなければいけない問題だね

━子供が潰れる恐怖と自分が潰される恐怖がありますね

子供に自分が潰される、一家みんなが潰されてしまう、そういう恐怖を訴えられます。一時も気が休まる暇がなくなって、気が狂いそうだとか……強力にケアしていかないと。

━結局、セラピーの腕につながってくるんでしょうね、子供も親も。ただ子供の体を預かっていただけじゃ将来はないですから。「子供もどうにかして欲しいけれど、自分もどうにかして!」という感じですね。そこからできているのが岩波先生の人気の秘密じゃないでしょうか? いろいろありますが

それは人が感じてくれていることであって、自分としては技術やノウハウを提供できればと考えているんですよ。ただ自信を持ってやっています。

━親の方の心理、恐怖感について他に教えてください

そうですね……登校している子供と大きな差がついてしまうとか。これは恐怖だと思います。
他に子供とどう接したらいいのかとか、子供が怖いというのもあるね。子供が家にいるだけで、家庭の空気が凍り付いて、「この子さえいなければ」と感じてしまう。
家庭内暴力という直接的な恐怖もありますし、世間体の問題や、さらに何かひどい事件を起こしやしないかとかよく話しに出ますよ。
何をやらしても立ち直ってくれないどころか、逆に殻に閉じこもってしまう。まともな会話が成立しない苦しさ、無力感、絶望……

━不登校や引きこもりの問題は周りまで追いつめていってしまうんですね。養う、養われるという問題と直結してますし

早く学校にいってほしいとか、社会に出て働いて欲しいと望むけれど、ますます距離が遠のいてしまうジレンマもあるね。

━あるヨットスクールが、一時社会問題になりましたが、まだ需要があるのは、一刻も早く子供と離れたいという気持ちが強いからだと思います。もう手に負えないから、これだと自分が潰れてしまうから、ひとまず預かってくれ、といった感じですね。もう体罰しか道がない、根性をたたき直してやって欲しいという気持ちがあると思います。

そこまで追いつめられているケースが非常に多くなっていますよ。それまでに自分に任せてもらえればと思います。

━では他のセラピーやカウンセラー、不登校支援施設とご自分との違いはどこだと思ってますか?

いろいろあると思うけれど、子供との対話が一つですね。子供と対話が成立できるということ。これはできそうでなかなかできないんですよ。みなそれぞれ努力しています。机上の空論なんかじゃなんとでもできるけれど、実際は困難なんですよ。
セラピーは互いのラポール(信頼関係)で成り立つんですが、不登校は子供が問題の当事者でありながら、親が当事者ということですね。親が子供を連れてくる。子供はそれが嫌だし、「だれも自分の気持ちをわかってくれない」ってあるから、心を閉ざすんだよね。だから、他の人だとなかなか難しいんじゃないでしょうか。対話の部分に価値を感じてくれていると思います。

━不登校とかひきこもりの解決が難しいのは、子供とカウンセラーの対話がうまくいっていないことがありますね。親が子供を専門家に相談しにいっても、(子供は)自分の意志じゃないから、心を通わせない。(カウンセラーやセラピストの方は)困り切っていると聞きます。自信喪失してやめる人も非常に多いですよ。対話がなければ、カウンセリングも成り立たないし、だから何にも効果が出ない

対話というか心が通じるものがあって初めてセラピーは成り立ちます。言葉じゃなく感情の部分ですね。カウンセリングって、相手を全面的に受け入れるってマニュアル化しているものがあるんですが、カウンセラーはそれをやっていても、子供の方から見たら、「なんだ、わかってくれないじゃないか、もういやだ」となる。教科書的にやっても子供は自分を受け入れてくれないと感じるんですよ。知恵とか知識じゃ話にならない。人間は感情の生き物だから。自分はカウンセリングというか対話術に自信を持ってますから、それじゃいけないなというのがよくわかるんです。

━前に聞いたんですが、地のままやっているということですね。それが簡単に見えて違うんですよね。どうしても知恵に走ってどうにかしようとしてしまう

それがすべてを破壊してしまうんですよ。単純だけど奥がすごく深い。

━評価を受ける秘密でもありますね。そこがちゃんとやれているというのは。

こればっかりはマニュアルや知恵の世界では成り立たない。専門家といっても、本当の意味の専門家は少ないでしょうね。

━そもそもカウンセリングが成立できていないんですね、その道のプロでも。あと、この問題は親と子供の意思疎通がとれなくなることでもありますよね?

親と子供の対話でも、親がいくら必死で努力しても、子供は「自分のことをわかってくれない」となる。もともと人間不信の目で物事を見ているからなおさらだね。
本当にいろんな施設を回って、その間に子供は絶望して、ますます殻に閉じこもってしまってるんですよ。「自分は変われないんだ」と思ってしまったり、カウンセリングで相手とギャップを感じて批判的になる。もう何も信じられないし、親にも「俺の心をわかってくれない」となってるから、どんどん難しくなっているね。
でも、自分ならそうならないと思いますし、子供との対話は得意です。きっと「この人ならわかってくれる」って感じてくれてます

━そうでしょうね。ちゃんと(セラピーの)スタートラインにたてているんです。子供が薬漬けにされている問題もありますね。これは精神科医、心療内科医の質の低さ、職業意識の欠如、金儲け主義の蔓延、事なかれ主義がはびこっているのが原因だと思います。思春期の時に薬漬けになることは由々しき問題だと感じてます。大の大人が自己責任で薬漬けになるならわかりますが、子供だと怖いですよね。

親御さんもたまらないと思いますし、慎重にやらなくちゃいけない問題だと思う。決して薬を非難するつもりじゃないけど、依存しすぎはのちのちやばいことだと思います。

━一方で、子供が薬を飲んでくれたら助かるという親もたくさんいます。その間はおとなしくなるからって。どこか施設に預けてしまえということと同じですね。

親も子もどうしていいかわからなくて、もがいてますよ。
対話が成り立っていないから、おそるおそる接してしまうし、強圧的にもやることもあるから、いち早く(本物の)プロに任せた方がいいですね

━心と体は直結していると言いますが、昔は仮病でどうにか学校を休んでやろうと僕も思ってました。今は本当に心身症になっているケースも多いから、「根性がないからだ」「たるんでる」「気張って学校に行け!」と言えない環境になってますね

悩んでいる子供は、体が鋼のように固まっているんです。肉体的な苦痛が心理的苦痛に転化されるという悪循環があるね。だから根本的に解決しないと駄目だし、そのようにやっています。親が追いつめると、心理的プレッシャーが肉体的な問題に発展しますから。同時に親御さんも心身症になっているケースが多いですよ。

━親子が回ったたくさんの支援施設は表面的にしか対処していないようで、だから壁が破れないまま時間が過ぎていくばかりです。薬が対症療法の最たるものですが。

子供が壁を破れない限り、不登校という以外にも、ひきこもりや別の問題にもなっていくわけだから、なるべく早く、根本療法をやっていかないといけないと思います。解決の先延ばしはもっと厄介な問題を引き起こしますから。

━不登校やひきこもりの子や若者に共通していることは何ですか?

不安という言葉がキーだと思う。昔の不安と今は全然違うようになってきてるんですよ。
今の若者やその下の子は、夢を喪失していて目標設定もない。だから生き甲斐がなくなっている。これは一般論で言っているんだけど、夢や目標に燃えている若者もいっぱいいます。でも悩みに陥るのは、少なくともそれがない、また実現不可能なことだって思いこんでいる人が多いと思いますね。
そうじゃないんだってことや目標設定の重要性、なんでそうなってしまったか効果的にやっていけば、そういう症状から脱させることができるけれど

━そもそもなんで子供は悩むんですか? 昔も悩みは当たり前にありましたが、質が違ってきていると思います。もっとのびのびしていましたし、でも、今は内面的にどんどん入り込んでいく悩みになっていると思います。だからいくら外から助けを差し出しても、子供には届かない。だから子供は「自分の苦しみなんか誰にもわからないんだ」とますます意固地になってます。

一つは子供との心の対話ができていないということ。
あとストレスがすごくて、満たされない心のままでいると誰だって悩みます。それで、あるきっかけがあって、心理的ダメージが他の子供の何倍にも感じる。だから潰れてくし、子供だから対処しようがないんだよね。それを支える教師の存在、師の存在が周りにどこにもいないから不安がものすごい。

━きっかけはどんなことがあるんですか?

先生のひどい一言だったり、いじめや仲間はずれ、親子のすれ違い、夫婦間のトラブル、あとは過保護・過干渉……が多いですね。神経症のきっかけと似てます。

━不登校や引きこもりの増加は、核家族化や地域の連帯感の喪失、離婚率の上昇も大きいですよね?

子供も自己責任の渦に巻き込まれてるね。感じやすいから、悩みもどんどん吸収してしまう。子供はどこかで信号を発してるんだけど、感知能力が社会全体になくなっていると思う。子供は重すぎる責任をしょってる

━前にも話したんですが、子供だけじゃなくて、親も、その世代も悩んでいるから、子供は導かれないし、自分自身で生きなければならなくなってるんですね。その重圧は相当だと思います。同時に甘えの問題もあると感じます。大人は子供を甘やかしていますし、それは子供への恐怖からだとおもうんですが

親自体も迷っているし、学校の先生も迷っているから、そうなっちゃうのもしょうがないといったらしょうがないんだけど。どんどんこれからも増えていく問題ですよ、確実に。
あと、今の子は、自分だけの世界で、心のある部分を満たせるテレビゲームっていうのがあって、コミュニケーションなしに生きてくことが出来るよね。それだから孤立の中で生きてきた人が、集団の中でコミュニケーションをとることは重荷だし負担だし。
そうして心が怪我をするようなことが学校とかであったとき、「こんな嫌な思いをするなら一人でいた方がいい」ってなる。だからどんどん孤独の世界に入ってくし、またそれで生きていける現状なんだね。
でも、子供が自分の周りを見回してみると、なんかみんな元気なように思える。で「自分はどうなんだ、何か違う……」って周囲とのギャップを感じて、鬱状態になってしまう。元気がなくなってくるし、対処しようがないから、ますます一人でいることを好むし、殻に閉じこもれば、まあ、とりあえずそのギャップからは少し解放されるから、どんどん周囲と壁を作ってしまう。

━周囲という中には、親の存在もありますね。

(頷く)

━鬱状態になるまえにはやっぱり信号がありますよね? きっかけが。

人間関係や授業、学校の教育への反発とか葛藤を起こしているうちに子供は焦ってくる。計算通りに何事も行かないから疲れてしまう、だから逃げ込む。逃げ込むことが習慣化されてしまうから、どんどん何も出来なくなる。周りと比較して、自分のやっていることが認められなくなり、ギャップを感じる。自信を得る機会もないから、自信喪失だけが大きくなってしまう。
もし目標設定がちゃんとできていれば、子供は必要以上に悩まないで、それに向かって進んでいけるけど、できないから落ち込むし、鬱に入り込むし、イライラするし、周囲に当たるようになるし、自信喪失にもなるから。

━悪循環ですね

周囲の人は、子供のことを「どこか違うな」と思っているうちに、不登校になったり、解決しないうちにどんどん問題の根が深まっていってしまうから、信号を見ると言っても難しいものがあると思う。また効果的なところにアクションを起こすまでに行かないものだし。
あと重要なのは、子供がどこかおかしいとなっても、親が無理矢理精神科やカウンセリングや心理療法に連れて行くのは、子供にとったらとっても傷つくことなんですよ。ショックを受けるし、反発もするし。
子供が行きたいという気にならないと効果なんか上がらないんだよね、そもそも。
うちの場合は、子供の感情をちゃんとわかってあげて、対話が成立して、そういう気を起こさせていますが。

━だから岩波先生のプログラムは効果が上がるわけですね。というより、みなそこまでいっていないのも問題だと思います。

やっぱり子供が「この人ならわかってくれる!」という状態が必要なんだと思う。はじめて「自分の気持ちをわかってくれた」という子供がとても多いです。いくらうちに技術があって、それで心の底から問題に効果を与えられるといっても、ベースがなければ始まらないんですよ。またその対話の部分で、子供の心がすごくホッとして、多くが解放されることもあります。

━先生なら子供だけじゃなくて、悩んでいる親御さんもそう思いますね。では、今よく言われている適応障害、社会不安障害(SAD)とか対人恐怖症だからこそ、不登校になるケースも多いですね。不登校という心の悩みはないわけで、その原因を知らないといけないと思います。

対人的な悩みとか緊張は誰でもない方がおかしいんだけど、小学校の低学年なんかは、周りと孤立する、しない、浮いてしまう、浮かないという問題が多い。でも、思春期となってくると、対人緊張が起こってくる。

━自意識が目覚めると心理的な問題もウナギのぼりになりますから

そういう問題を抱える子は、「相手に嫌な印象を与えたかな、不快を与えたかな?」って必要以上に緊張感を常に持って、アンテナを張ってしまう。その反面、心の中では「人に好かれたい、うまくやりたい」というベースが出来てる。

━そういう緊張とか不安をどうしても感じてしまう要因を教えてください。

最初の対人関係のもつれ、不安を抱いてしまうきっかけは、集団の中で、今まで友達だったのに干されてしまった、仲良かった親友が他とくっついた、コミュニケーションをとれていたクラスメートが、前と同じノリじゃなくなった、とかたくさんあります。
でもエゴを満たしていた子供だったら、「他の友達を作ればいい」と走っていくことが出来る。そこに対人関係で引きずる要素は何にもないわけですよ。

━親のしつけ、教育哲学の差が、その子供たちの反応を分けるんですか?

「こうあるべきだ、こうしなさい」という親だったり、保守的な親だったり、その子供が親の顔色、反応をよく見て育つと、敏感な子供になります。よくいう過干渉・過保護もそうだし。
「こんなことをやっていけない」「こうあるべきだ」って育て方だと罪の意識の助長をしてしまう。「こうやったらだめなのかな、いいのかな」とか必要以上に「どう見られたかな?」とアンテナが敏感になって育ってく。そういうアンテナを持った子供が孤立したり知恵を使い始めたり、自意識を持ったりする。そして、きっかけがあると対人緊張が発症する。
人に対して漠然と不安を持つよね、そうなると。だから自分を周りから守ろうとする。

━それだと学校に行くことがきつくてたまらないですよね

最近は子供は親が考えられない限界を超えてる精神世界を持っていると感じるし、すごく感性を持っていて、能力を持っている子供がとても多いですよ。うまくいけば、恐ろしいくらいの価値を作れる子供ばっかりですよ。特にうちにきている子供はそんな子が多いです。
でも学校のみんなは自分とは違う次元で動いているとそんな子供は感じる。そのまま感じないで行けば、将来すごくいい価値を実際に生み出せるんだけど、気に病んでしまうと難しくなるね。
学校はその子の感性では動いていない。合わせられない枠しかない。その子独特の感性を受け入れないし、存在自体受け入れない。どんなに才能があっても。逆にその才能を悪いズレとしてクラスメートもその子供を迫害したりする。だからいっそう自己否定の感情が強くなってしまう。
そういう種類の子供は親も自信がなくなっているから、ある種の感性、敏感さを備えていて、周囲とのギャップを感じ取る。不安が起こるし、緊張とストレスの中で暮らさなきゃいけない。
だけど親は、そのことをわかってくれないから、子供は心を閉ざしてしまうということもあるね。

━いくら親子でも、別の人格ですし、心理的な内面を正確にとらえることは不可能じゃないかと思います。とらえようとする姿勢が大事だと思いますが。

心理的な要素、問題を言っても、親がわからないものがありますよね、どうしても。そうなった子供は現実の世界、施設では回復しないことが多いし、いつまで経ってもらちがあかないと思う。
薬を飲んでもだめだし、そうなったら、事件があったような不登校の子を預かるスクールしかなくなる。あれはあれである親にはとても存在価値があるものだったし、もちろんああいう取り上げられ方(死者を出し社会問題となった)をされたわけなんだけど。

━そうですね。結局、子供が心がわかってくれていると感じることが大事ですね。心のやりとり、感情の交流という、それは別に言葉はいらないものですし。

極論すれば言葉はいらない。対話においては。知恵を振り絞って子供をどうにか変えてやろうということ自体、簡単に子供に見透かされるんですね。感覚とか感性・感情の対話であればいいんです。

━そう言ってます、それができることはすごいことですよ。達人レベルにならないと無理だと思います。そこが「この人しかいない」とクライアントの方がなるわけですね。まあプログラムの内容もあるとおもいますが、そこですね!

それはいいすぎだけど(笑)。でも、心をわかってもらえるということを、自分は人より出来ていると思います。だから複雑に問題がねじれ曲がっちゃう前にプロに任せて欲しいですね。

━さっきも語ったように親も追いつめられてます。自分が子供にどうしたらいいかわからなくなってます。子供に対して何をすべきだと思いますか?

愛情をもちながら、必要以上に干渉せず、無視せず、その中でプロに任せるというスタンスがいいと思います。あるレベル以上に心を閉ざしたり、こじらせた子供にはそれが一番だと思う。

━プロと言ってもプロじゃないプロも多いですよ

もちろん、効果的に子供の心に訴える力があるものじゃないと意味がないです。

━僕のことを言えば、中学とか高校の頃、思春期特有の悩みがありました。そのとき苦しかったですし、それがあるから、「心」に興味を持ったわけなんですが、そのときに岩波先生のような人と出会っていたら、人生変わっていたでしょうね。前に話が出た「師」となる人との出会い、子供の心にいい影響を与える先生というような存在を岩波先生が出来ているからこそ、親も当事者の子供も信頼を置かれるんだと感じます。

褒めてくれるのは嬉しいけれど、こちらは地でやっていて、なんにも子供に心理的駆け引きはしませんよ

━駆け引きなんかしたり、知恵を使って子供と接したら、絶対子供は感じ取りますよね。先生が言われたように。子供ほど敏感なものはないですからね。「この人信用できない」ってそういう相手にはすぐ思うでしょうね。でも、信頼されるために知恵を使ってしまうのがカウンセラーのほとんどだと思います。医者も。医者は薬を出すだけでいいからその必要性すら感じていないかもしれませんが。

信頼関係は駆け引きなしのところからしか生まれないんですよ。でも一番単純で、一番難しいんだけどね

━子供と向き合うことが難しいのは、知恵や駆け引き、下心を子供にも働かせてしまうからでしょうね。

子供は大人ほど理性を使わないから、そう言う相手は簡単に感じられるんですよ。それに、そういう環境で育った子は、心理的駆け引きをして、ぼろぼろになっているから。悩んでいる子ほど、大人以上に話していて理性を持っていると思う。感性も理性も鋭くなっている子に心理的駆け引きをしても、勝てるわけないし、そうやったら底を見られるだけですね。対話もカウンセリングも成り立たない。

━カウンセラーや専門家はマニュアル化してやっているところもあるから子供になめられてますね。では、子供の心が解放されるメカニズムを教えてください。

なぜそれが起きたかのかというと、自分を守る手段、自己防衛でやってるんです。苦しいからこれ以上やれない、きついからもう出来ない、ぼろぼろだからやれない、って防衛本能でそうなってる。
子供の負担を少なくするためにやることは、なぜ逃げなくてはいけないほど(子供の)負担になったのか? ということ。
それはさっきも言ったけどきっかけがある、学校とか、先生とか、クラスメートとか。
でも、きっかけがあったからって、すべての子供がなっているかというとそうでもない。同じことを体験したとしても、みんなそれで不登校にはならない。元気に「学校が楽しい」って通う子も多い。

━たしかにそうですね

不登校になったり、引き籠もることになる子供だけが追いつめられたり、落ち込んだりするのは、それ以前の心の体質的なものがあるからなんですよ。
それは、育った環境で組み込まれた考え方、感じ方、見方、本人の精神状態とか含めて、構築されたものあるから、そのきっかけの時にダメージとして深く意識下に残ってしまう。
それが表面化したものが不登校であり、ひきこもりだったり、神経症だったりするんだよね。
そうすると、きっかけ以前の育った環境とか条件の中に、悩みに陥る要因があるということだから、そこを処理していくんです。
といっても、ただ表面的に処理していけばいいわけじゃないし、無意識に食い込んだ要因から処理していかなくちゃいけないから、他の人では手に負えないものだと思います。

━プロ中のプロがやらなくてはこじらせるだけですね?

ここで言いたいことは、そこを処理してもまだまだ先があるんだということです。もちろん無意識からの心の奥底からの処理は強力にやりますし、うちでは効果を上げていますし、他のところより価値はあると思っています。
一番大切なのは、悩む子供、若者は、長い間それをやってきたから、たとえば、人を気にして生きてきたり、自分を守ったりしてきたわけです。その角度しか物事を見れていない。視野が狭いんです

━要は、不登校が作られやすい体験しかその子供はしていない

そう。絶好調の体験値がないから、だから、子供の根っこのところから処理されても、たくましさであり、物事への柔軟性であったり、自信とか覚悟の部分であったり、そういうものがない。視野も狭い枠でしか見られなくなってる。
処理した後、今度は新しい経験、人生に対して挑戦しようとすることは、その子にとって新しい冒険なんです。リスクもあるし、その先不安とも闘っていかなくてはならないし、そこでまた逃げの姿勢になったり、自分を守ろうとすると結局元の木阿弥になってしまうんですよ。
何にもその新しい直面や危機に面したときに武器がないと、また周囲や環境に潰されてしまう。潰されたら、また不登校になったり、一生悩まなくちゃいけなくなる。今度のダメージは大きいわけです。

━世の中は甘くないから

トラウマ処理した後の子供に武器を持たせる、どんな荒波にも負けないたくましさを持たせるプログラムをうちは用意してます。
だから、子供は自信を得ることが出来るし、真の意味で心が解放されるんですよ。

━心が解放されると言っても、ただホッとするだけでは意味がないんですね。

ホッとすることはすごく重要だけどね。でもホッとしただけで実際不登校が解決したかというとなかなかそうはいかないでしょう。子供がのびのびとたくましくなったときに、本当の意味で心が解放される。親の方もそうだよね。結局、心の抑圧とは無縁になったとか、たとえ心に抑圧があっても、関係なくとらわれることなく生き抜いていける状態になって初めてできるんだね。

━そうなったら心の抑圧は、もう抑圧じゃなくなるという……

そう

━心の抑圧は、どんどんたまると暴発してしまうものだから、家庭内暴力や、まして世間に向いたときに傷害事件に発展してしまうこともあります。心の悩みをとらえる上で重要なキーワードですが、本当に怖いと思います。ずっと家の中でいたら、抑圧や鬱憤がたまらない方がおかしいくらいですし、心としてそれをどうにか発散させたいとなりますよね。そうじゃないと自分の心がもたないわけですから。はけ口をどうしても求めなければならない。その最たる例が、子供の傷害事件で、連日ニュースをにぎわせてます。

よくニュースで世間では事件を起こした子供は、いい子で通っていたということがあるね

━そうですね。「どうしてあの子が!?」ばっかりです。もう聞き飽きました

心の抑圧は意外と家族とか周りの目に触れられないし、感じられないけれど、でも抑圧はすごく大きな事件を起こすまでになるんだからおそろしいものですよ

━薬依存の生活、ひきこもりとか、会社拒否、家庭内暴力、不登校まですべて心のベースの中の抑圧から起きていますね

でも、抑圧と言っても、人それぞれ何で抑圧が起きたのかは違うから、それの解放は個人個人のベースでプログラムを組むしかない

━でしょうね。画一的に事務的に心の問題を扱うことは出来ないと言うことですね。でも、ほとんどのところはそれしかできてないようです。画一的とか事務的にやるというのは一番楽ですし。ベルトコンベアの工場じゃないんだから考えて欲しいですが

そうなると子供の心を本当にわかってやるということから距離が離れてしまうし、子供からしたら「通いたくない」となるよね。通わせようとする親に敵意も持っちゃうし。
場面・状況・環境・歴史をふまえた上で、その子にどんな抑圧がかかっているのかから把握しないと効果がないし、そこから本人もこれがこうなる、だから心が悲鳴を上げていたと理解できたときに消化されるものなんですよ。脳の性質がそういうものだから

━結局戻ってきてしまいますが、不登校の子供、若者を語る上で絶対はずせないのが「親」という存在ですね。不登校の子供を持つことで、抜き差しならないノイローゼにかかる人も多いです。この二つはほとんどセットになってますし、子供や親だけのの問題でなくて、家族、その兄弟姉妹までも重い影響を与えている現状です。先ほども、そこらへんの心の処理をしているといっていましたが─

ほとんどの子が病んだとき、最初は「助けたい、元気にしたい、なんとかしたい、遅れを取り戻したい」これが親の心理です。
だけど、悩みは深刻で、半年、一年二年と、長いものは社会人になるまで続く。もう老人になっても苦しみ続けている人もいます。

━自分で命を絶つ子供も多いですよね。大人もですが

未来を考えるほど、社会人としてまでやっていけるか「不安が大きい」ってよく聞きます。
そんななかで、親自身が、毎日の仕事、家事、しかも兄弟や他のことのバランスも考えなくちゃいけない。
ひどい場合には「この子が私たちの家庭を崩壊させてしまうんでは?」と深刻な問題にまで陥っている。
何%かの親の場合は、「この子さえいなければ解放されるのに」って、すべてじゃないけれど、わずか心に抱いてしまう。

━そう思ってしまうのもしょうがないと思います。でもそう思ってしまった親は自己嫌悪にもなる

そんなことが高じると、親自身がストレス、神経症になってしまうのは当然だよね。逃げ場がない問題だからほんとせっぱ詰まってます。
子供の暴力の問題も起きてきたら、身も心もたまったものじゃなくなるから、そうならないうちにうちのようなところに相談した方がいいと思います。
で、登校拒否の子供が家族全体を結果的に巻き添えにしてしまって、みんな振り回されて、全員がクタクタになってしまう現状がある。
どの親も子供はかわいい。でも現実は他の子供、家族全体、父母の日常生活のパターンまで乱すことになるから、親自身も登校拒否と同じように、それをいかに回避するかに専念してしまうから、子供の闇が親にまでコピーされてしまうのは当然だよ。

━親自身も、目の前の苦しさから抜け出そうともがいて、解決のための視野が狭くなる。逃げの姿勢にもなるし、かといって、攻めの姿勢で子供の不登校を解決しようとしても何にも手段がない……すっかり途方に暮れちゃう……ノイローゼに陥るのはしょうがないですね。

だからはまるのは当たり前だし、神経症的になるのは当然だよね。
苦境から解放されるのは子供が「これでいける、希望がもてる」という見通しを親が感じなければ無理。
もともと子供の問題から自分がノイローゼになるなら、不登校とか心の問題の解決が親の心の問題の解決でもあるわけだけど。

━親は子供に期待をかけますよね。その期待が子供にとっても親にとっても裏目に出てしまうのがこの問題でもあると思います

今まではこれだけ努力したんだから、期待したんだからこれだけの結果が出る、でも好きでやったわけではないけれど、裏切られた現実がある。親自身もぼろぼろになるよね、これでは。「どうして親の気持ちがわかってくれないの?」と悩んでも、子供の方は自分の気持ちをくんでくれないと思っている。

━親も子供も自信喪失と永遠のすれ違いですね。貴重な時期の十代の子供が陥る問題なだけに、解決にはスピードも求められますね

逆に言えば、脱出するための時機を逸した場合の損失は大きいと思う。
有効な手段を子供の心にとれないとき、いろんな事件になる可能性が少しでも出てくるし、子供の不満、抑圧が高まって暴発したケースがたくさんあるから、力が注げるときに、温かい目で助けを出さなければいけないし、その手伝いを劇的にやりたいと思ってます。

━不登校を解決するときに、カウンセリングやフリースクールなどがいろいろとありますが、それについての意見を聞いてみたいです。まずはスクールカウンセリング、心理カウンセリングと言った基本的な分野ですね。

そんなことを評論できるほど偉くはないけれど(苦笑)。ただのおっちゃんだから。

━いえいえ。問題点を言ってもらえれば。一般のカウンセリングについてどうですか?

そうだね、はっきりって、うちでは論外で問題外だと思ってますね。カウンセリングは必要不可欠である前提で言いたいんだけど、カウンセリングの出来る範囲は限界がある。
それでは心の深層部分も変わらないし、抑圧を解放するのにも強力には役に立たない。
でも最低限必要なことですよ。無意識の問題を解決するには力不足です。
ただ悩んでいる子供がなんにもやらないより、会話の変わりになる点、少しでもホッと出来るようなところは、役には立っているけれど。

━子供との会話すら成り立たないケースも多いですから。さっきいわれたようにセラピーのスタートラインにも立てていない状態ですね。

カウンセリングというより対話のほうが重要だと思う。その二つは同じことなんだけど、カウンセリングだけが先走ったり、目的となったりすると空虚なものになると思います。

━心のふれあい、信頼関係、カウンセラーの伝達、波及効果といったものがあれば、カウンセリングじゃなくてもいいわけで。ただの話だけでもいいわけですよね?

かしこまったカウンセリングはやらないです。地のままにやるから、カウンセリングじゃないカウンセリングになっていると思う。話をしなくてもいいし、話をしなくちゃいけないという強迫観念を持っていたら駄目だね。こっちがしゃべるから、「黙って聞いているだけでいいんだよ」って子供によく言ってます。ちゃんとそれで伝わるし、子供も頭がいいからよく聞いてる。
抽象的だけど、愛という要素が必要なんだよね。知恵を使ったり、駆け引きしたり、うまくやろうなんて思ったら、愛は相手に伝わらないし、ただ軽蔑の的になる。
人が動く、揺り動かされるというのは、結局それがなくちゃ駄目だし、多くが出来ていないことだと思います。
形式張ったら、もう死んだカウンセリングですよ。子供も親御さんも、悩んでいる人はそんなことぜんぜん望んでないし、わざわざ出向くこともないわけでしょう。
うちには遠くからわざわざ通ってきてくれる人が大勢います。理屈で通ってきてもらっているんじゃなくて、もっと感情的なものがあるから、高い電車賃や飛行機代を払ってきてもらっているんだと思います。

━海外からも通われてるみたいですね。あちらの日本人学校でも不登校はあるそうですね。海外という不安だらけの状況で親も子供も追いつめられて……僕の知る限り、そんなカウンセラーはいないですね。大学で心理学を勉強してきただけの人には、絶対岩波先生のようなカウンセリングは出来ないと思います。では、精神科や心療内科という薬物療法を行うところについてお願いします

まつざわ君も薬には詳しいと思うから、自分が言うのも何だけれど、薬の副作用という問題があるよね。
最悪なとき、たとえば人が自殺をしたいという気持ちがある。本当に落ち込んだとき、薬がなかったらあの子は死んでしまったというケースは確かにあります。薬のおかげでどうにか最悪な事態は避けられたとね。
でも、現実は最初は症状は軽かったのに、薬を飲んで数ヶ月は楽だったのに、またきつくなってしまう。対症療法だということと副作用をちゃんと頭にいれないと。

━薬は効かなくなるものですから。だから量を増やしたり、強くしたりするしか医者は出来ないんですよね。

それで、量を増やす、強くする、半年飲む。また効かなくなる。不安が回避できない。また増やす、気づいたら三、四年、十年以上飲み続けてる。
その結果、薬をわずかの期間はずすと、異常な不安と恐怖に襲われる。行動さえ出来なくなる。
もちろんそこまでくると、薬を飲んでも不安で、最初は薬を飲んだら治ると希望を持っていたのに、それすらなくて、惰性で飲まなきゃいけない。それで永遠と薬を飲み続ける羽目になってしまったなんてケースがいたるほどある。
こんな生の声を多く聞いてますし、今まで会った人の高い確率で、それをやっている。
神経症のことだけじゃなくて、不登校にしても結局は薬に頼ったら、ずるずると十何年、何十年といってしまう。
根本からやらないと。対症療法だとそうなるおそれがあるから。

━そもそも子供が精神系の薬を飲んでいいのか、という問題もありますね。薬害に発展していく人が非常に多いのは心療内科、精神科の通院する人たちの絶対数の多いこともあるでしょうし、診療のわずかに与えられた時間のなかで医者は相談してくる人を数多くこなさなくちゃいけないという物理的、時間的制約の問題もあります。薬の自動販売機となっている医者自身の情熱もありますね。そういうのが医者だという認識は寂しいと思います。もっと自覚をもって患者さんにあたってもらいたいという不満をよく聞きます。

それだと、本来の悩み始まった心の原因とかポイントにふれずに投薬することになるから、相手の心に響かない。薬を飲む以前、なぜこんな状態になってしまったのか、きっかけは何か、そのきっかけのもとに何があったのか、どうしてそれでそこまではまってしまったのか、そのベースがなんだったのか、もちろん好きで作られたベースではないけれど、そこにトラウマを作るべき長い人生のドラマがあるわけだから、現状はまずいと思いますね。
やはり、問題の一つ一つを引き出し、整理し、理解し、抑圧から解放させてあげないと、(不登校や心の問題は)繰り返し続いていくものだと思う。それが短期にうまく行った場合、劇的に効果が起きると信じているし、結果そうなってますよ。
感動がないとセラピーは何をやっても効果がないし、感情、感動、情熱、愛といった部分で人の心は動くものだから。子供はなおさらですね。一番他のところとの違いはそこだと思います。信頼関係もそこからしかうまれないし。

━岩波先生は感動させてうまいですよね(笑) では、親の立場から見て、子供の問題の原因がわからないときは?

親は親の目で子供を見て育ててきてるし、子供は子供の目で親を見たり、その環境を感じながら生きてきてる。
その関連から言うと、親と子供と言っても、見ている眼鏡の視野も違う。
親の目で子供を理解しようと思ったとき、矛盾が起きたり、藪の中になったり……無理に説得しようと思えば、子供は、強制されたと思ったり、優しい子供なら心に抑圧がかかってしまう。
大切なのは、子供の観点に立って、子供の視野に立って、子供の気持ちを理解することから始まらないと難しい。
そういう意味では、子供と同じレベル、目線で対話でき、親には話せなかったレベルでその対話者(岩波先生)と通じるものが起きなければ、まず原点からの出発はないと思う。当所にはそういうものが用意されてますし、全力を尽くします。
それと親御さんの自身の抱える苦しみや抑圧もはずしていきます。

━そろそろ終わりに近くなっていますが、子供は自力で立ち直れるものなのか? それには何が必要でしょうか?

大人の悩みも含めて、子供の不登校、ひきこもりも含めて、悩んだ本人はいつも「何とかしよう」「この状況から脱出できれば」「これさえなければ……」そのことに執着してしまうのは当然のことだと思います。実際もがいて頑張って、へとへとになってます。
執着心がある子供が悩むことが多いし、でもその執着が、「結果はこれでも駄目だった」と、「これでも切り抜けられなかった」ということの積み重ねで自信もなくなって、心身共にぼろぼろになり、深みにはまってしまってます。
あるレベルまでは自分の力でうまく割り切ったり、切り替えたりすることは出来るものだけど、きついから逃避したい、避けたい、逃げたい、「これさえなければ……」、こんな気持ちが強化された段階だと、当人の力で方向転換するのは現実的に難しいと思います。
そうなったら、時間が無駄に過ぎないうちに、いち早く相談すべきだと思います。

━話にも出てきましたが、頑な殻に閉じこもった子供からも岩波先生は信頼されていると聞きます。どういう部分がそうさせているのだと思いますか?

さっきいったように感情、感性、感覚、感動の部分。あと子供の心を開かせるために、覚悟を持って心を開かせる、そこのベースが大きいと思いますね。

━覚悟ですか。なおさら普通の人にはもてない部分ですね。覚悟は付け焼き刃では身につけられないものですし、積み重ねでできるものですからね

あと、愛の部分が重要です。さっきもいったけれど。
愛は子供が納得するまでの永遠の対話で、それにはこちらの覚悟が重要なんです。
人が心を開くときは無理強いはしない、間違っていることでも、それすら肯定してもらう。肯定してくれた人間に対して、心が開かれる。

━そこが永遠の対話というところですね

ところがこうあるべきだという発想の中で育ってきた子供にとって、方向性を作られたこと自体が、心を閉ざす一つの要因になってきてる。うちのカウンセリング、対話はそういう原点がなされているし、何より、かなりの技術とノウハウをもっていると自負してます。だから子供に価値を作れるし、子供と心が通じ合えるんだと感じています。

━最後に子供に問題を抱える親御さんに一言お願いします

ポイントはこのまま放って置いたら、一生生きていく上で困難な人間になる可能性がとても強いということ。
それは誰よりも感じられていると思います。
それを解決するには今しかないですし、取り返しのつかないことになると後悔する羽目になるおそれが大きい問題です。
挑戦できるとき挑戦させてあげてください。
また親御さんの心理的負担に劇的に効果を与える力になれればと思いますし、価値を作れる材料がうちにはあると思います。

━また長い間、こんなに夜遅くまで、ありがとうございました。多くのクライアントさんが殺到している中時間を空けていただいて

いやいや。いつまでたってもしゃべり続けてしまうから。この調子で夜中ずっと話してしまうんですよ。こんな性格だから

━また心に関することで、話できればと思います。岩波先生の時間が許せばですが

いつでもどうぞ

 

(終わり)

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